短所を長所として魅せるモノづくり「2層構造のジュエリー」
冒頭写真として掲載されているペンダントのメインストーンは、とても照りの良いイエローサファイアです(しかも非加熱)。
その照りの良さはダイヤモンドと間違えるほどですが、残念ながら真ん中部分が透き通った状態となっています。
石の正面(テーブル面)から見た際に、石の向こう側が透けて見える状態を「ウィンドウ」 と呼びます。「ウィンドウ」の原因は、カットが上手く行き届いていないためであり、その分輝きの度合いは低くなります。つまり色石を評価する際にはマイナス要因。
このサファイアは、色合い(カラー)、透明感(クラリティ)、照りの良さは抜群であるものの、この「ウィンドウ」が欠点。しかしながら、この綺麗な宝石をなんとか綺麗にジュエリーとして仕上げたいということで、ペンダントトップの枠に或る工夫を施しました。
それは、透けて見える石の向こう側にメレダイヤ(小さいサイズのダイヤモンド)をセットするという工夫。石の下側の地金プレート部分にダイヤがセットされていることが確認して頂けると思います。
正面から拡大するとこの通り。
ペンダントの角度が変わり、動きが出た場合には、石の向こう側のメレダイヤがキラキラと輝きますので、ペンダントトップ全体としてはとても綺麗な光を放ちます。
以前のリフォームに関する記事でも、ダイヤの短所を活かしてデザインするという事例をご紹介しましたが、まさに今回もそれと同様。
宝石を買い付ける場合でも、短所があるから諦めるのではなく、デザインの工夫次第で綺麗に仕上がるものとして評価することもしばしば。こういった判断は、宝石の買い付け、デザイン、加工を一貫して手掛けるジュエラーだからこそ成せる技である、そう自負しております。
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